DXを推進する企業の増加や、IT人材が不足する背景から、社内SEは将来性が見込める職種です。
しかし、社内SEとして働く方の一部では、後悔したとの声が上がっています。
社内SEへの転職を考えている方は、仕事内容やメリット、デメリットなどを理解し、自身が向いているか考える必要があるでしょう。
本記事では、社内SEになると後悔する理由や、後悔しないための企業選びの方法や転職を成功させるコツについて詳しく解説します。
社内SEになって後悔した理由
社内SEになって後悔した理由については、以下のとおりです。
- システム開発の機会が少なく開発スキルが身につかない
- 社内でのコミュニケーションが多い
- IT関連のことを何でも押し付けられる
- 雑務が多い
- 納得のいく評価がされない
それぞれ詳しく解説します。
システム開発の機会が少なく開発スキルが身につかない
社内SEは、社内のシステム開発に取り組みますが、企業によっては下流工程の製造部分を外部ベンダーに委託する場合があります。
そのため、開発する機会があまりないことから、プログラミングスキルを身につけたいと考えている方には不向きといえるでしょう。
社内SEに転職する場合は、自身がどのようなスキルを身につけたいのか自己分析を徹底したうえで、転職しましょう。
筆者の会社は、製造部分は基本的にオフショア開発のため、海外企業へ製造部分を委託しています!
社内でのコミュニケーションが多い
社内SEの仕事相手は、当然ですが、社内の人になるため、システムの使い方や導入してほしいシステムなど、さまざまなことを社員とやりとりする必要があります。
作業中に、ほかの社員から新たにシステムに関する問い合わせが来ることもあり、特定の業務に集中したい場合などのストレスになりかねません。
また、社員の方にもよりますが、一度の問い合わせ内容がわかりにくく、何度もメールや電話によるやり取りが発生するケースもあります。
人のペースで仕事をすることになり、自分のペースで仕事したい方にとっては、後悔することになるでしょう。
IT関連のことを何でも押し付けられる
社内SEは、システム開発以外に社員からの問い合わせに対応するヘルプデスクを担当する場合もあります。
そのため、IT関連のことは、何でも社内SEにさせておけばいい、と考えている人も少なくありません。
パソコンの使い方やメールの打ち方など、本来の社内SEの仕事と感じられないようなことも押し付けられる可能性もあります。
マウスの接続方法について、問い合わせを受けたこともあります・・・
自身の想像していた業務内容と違うと感じてしまい、後悔をする人もいるでしょう。
納得のいく評価がされない
社内SEの業務内容で、わかりやすく成果の出るものがないため、評価がされにくいです。
目に見える評価基準がないことも多く、自身のがんばりと評価が見合っていないことがあります。
とくに、上司にITに関する知識がない場合は、システムに問題がなくて当然、あれば減点ということもありえます。
評価は、モチベーションにも繋がります・・・
社内SEで働く場合は、適切な評価制度が整備されているかを企業選びのポイントとして、転職を検討しましょう。
社内SEの具体的な仕事内容について見てみよう!
転職を考えている方のなかには、社内SEの具体的な仕事内容についてよくわからない方もいるでしょう。
社内SEは、主に次の業務に携わります。
- システムの企画や導入
- システム開発・ベンダーとの調整業務
- システムの運用保守
- ヘルプデスク業務
それぞれ詳しく解説します。
システムの企画や導入
社内SEは、企業や部署で抱える課題を解決するために、ITシステムの企画や導入をおこないます。
業務の効率化や業績を向上させるためのシステムを検討したり、経営陣や部署の方に納得のいく説明をしたりする必要があります。
企業が抱えるさまざまな課題を分析し、最適なシステムを企画・導入することが社内SEの役割といえるでしょう。
綿密な計画がシステムの成功に繋げるでしょう!
システム開発・ベンダーとの調整業務
社内システム開発の上流工程から下流工程まで携わることが多い社内SEですが、企業によっては外部ベンダーに製造やテストなど、工程の一部を外注するケースがあります。
要件定義や基本設計、開発などのほかに、外部ベンダーに依頼する場合は、ベンダーとのスケジュール管理やコスト管理など、調整業務が発生します。
オフショア開発を取り入れている企業も存在しており、設計書の作成やテストの方法など、独特の方法を採用している企業もあるため、転職する企業の事前リサーチは欠かせません。
プロジェクトの成功には協力と調整が鍵です!
システムの運用保守
社内SEは、導入したシステムが不具合を起こして企業の業務が停滞しないように、トラブルの兆候や障害について調査する必要があります。
仮にトラブルが発生した場合は、業務が停滞する時間を少しでも短くするため、原因を特定し迅速な問題解決が求められます。
また、社員のニーズに応じて社内システムに機能を追加したり、システムの変更をしたりする場合もあるでしょう。
ヘルプデスク業務
社員からIT全般に関する問い合わせに対応するヘルプデスク業務も社内SEの仕事内容です。
問い合わせ内容は、PCキッティングやメールアカウントの設定など簡単なものから、VBAマクロやPythonなどを利用した業務効率化ツールの作成など、多岐にわたります。
また、複数の事業所を持つ企業では、ネットワーク構築やサーバー管理など、ITインフラに関する問い合わせに対応する場合もあります。
ツール開発の問い合わせが一番楽しいです・・・!
社内SEで働くメリット
社内SEで働くメリットについては、以下のとおりです。
- 上流工程に携われる
- 納期に融通がきくため残業が少ない
- ユーザーとの距離が近い
それぞれ詳しく解説します。
上流工程に携われる
上流工程に携われることは、社内SEの大きなメリットです。
SIer企業やSES企業に在籍する場合、システム開発の上流工程に携われる機会は少ないです。
社内SEは、社内のシステムに企画段階から基本設計、製造、テスト、運用・保守などシステム開発の上流工程から下流工程まで幅広く携われます。
AIが普及してきた現代では、プログラミングのみのスキルがある方では今後淘汰される可能性があるため、人の意見を適切に汲み取りシステムへ反映させる上流工程のスキルは市場価値が高いです。
プロジェクトマネージャーやリーダーなどへのキャリアパスも見込めるため、社内SEに大きなメリットといえるでしょう。
自身の能力を最大限に発揮できることは、モチベーションにも繋がります!
納期に融通がきくため残業が少ない
通常のエンジニアの場合は、外部のクライアントと密接にやりとりをしながらシステム開発に取り組むため、納品時の納期が設けられています。
無茶な納期を提示してくるクライアントも存在しており、納期が近づくと残業が発生しやすいです。
一方、社内SEは、システム開発における成果物の納品先が社内になります。そのため、納期に融通が利きやすく残業が少ない傾向にあります。
ただし、企業によっては残業が発生する可能性もあるため、企業研究の際に月の残業時間についてよく確認しましょう。
ユーザーとの距離が近い
社内SEは、自社の社員が直接的なクライアントであるため、求めていることやシステムの感想などをダイレクトに受け取ることが可能です。
導入したシステムが使いやすいと、「ありがとう」「助かった」などの感謝の言葉を投げかけてもらえるため、やりがいを感じやすい職種といえるでしょう。
また、ヘルプデスク業務も社内SEの仕事内容に含まれるため、ユーザーとの距離が近いです。
ヘルプデスクでは、丁寧に対応すると神様扱いを受けることもあります笑
社内SEとして働くデメリット
社内SEとして働くデメリットについては、以下のとおりです。
- 社内外ともに調整業務が多い
- プログラミングスキルが身につきにくい
- 最新技術に触れる機会が少ない
それぞれ詳しく解説します。
社内外ともに調整業務が多い
社内SEは、経営陣やほかのさまざまな部門、外部ベンダーとのやりとりが不可欠です。
ヘルプデスク業務や外部ベンダーとの交渉に加えて、社内の情報システム室での調整業務など、業務範囲が広範なため、社内外ともに調整に多くの労力を割く必要があります。
システムの設計書作成途中に別の問い合わせが来たりして手が止まることも珍しくないため、コア業務のみに専念できない点は社内SEのデメリットといえるでしょう。
プログラミングスキルが身につきにくい
ヘルプデスク業務や他部署との調整業務など、システム開発以外の業務が多い社内SEは、一般的なSEと比較するとプログラミングスキルが身につきにくい点がデメリットです。
筆者自身もプログラミングする機会はほとんどありません!
そのため、プログラミングに専念して、システム開発のスキルを向上させたいと考えている方には向いていないといえるでしょう。
プログラミングスキルを効率よく身につけたい場合は、SIer企業やSES企業のエンジニアを検討してみてください。
最新技術に触れる機会が少ない
SIer企業やSES企業のエンジニアの場合、さまざまなクライアントのプロジェクトに携わることで、最新の技術やプログラミング手法を頻繁に学ぶ機会が多いです。
社内SEでは、業務を円滑に進めるために、企業独自のシステムに関する知識やスキルが求められます。そのため、一般的なSEと比較すると最新技術に触れる機会が少ないといえるでしょう。
そのため、最新技術を活用してシステムの構築をしたいと考えている方には、デメリットといえるでしょう。
社内SEに転職すると後悔する人
社内SEになると後悔する人の特徴については、以下のとおりです。
- プログラミングスキルを身につけたい
- コミュニケーションや調整業務に抵抗がある
それぞれ詳しく解説します。
プログラミングスキルを身につけたい
社内SEに転職すると後悔する方の特徴として、プログラミングスキルを身につけたいと考えている方が挙げられます。
システム開発以外に、ヘルプデスク業務やネットワーク構築などのITインフラ、社内外での調整業務など、社内SEの業務内容は多岐にわたります。
プログラミングのみに従事することが困難なために、プログラミングスキルが身につきにくいです。
そのため、プログラミングスキルを身につけたいと考えている方は、SIer企業やSES企業のエンジニアを検討しましょう。
コミュニケーションや調整業務に抵抗がある
社内SEの仕事にはプログラミング以外にも、異なる部門や関係者との円滑なコミュニケーションや調整が求められるため、抵抗がある方は向いていないといえるでしょう。
また、社員から問い合わせがくるヘルプデスク業務にも携わるため、コミュニケーション能力が必須です。
反対に、相手の意図を汲み取り、システムへうまく反映したり、専門用語を誰にでもわかりやすく砕いて説明できたりする方は、向いているといえるでしょう。
コミュニケーションを身につけることも重要ですけどね
社内SEに転職しても後悔しない人
社内SEに転職しても後悔しない人の特徴は以下のとおりです。
- ワークライフバランスを重要視している
- 人とのコミュニケーションに抵抗がない
それぞれ詳しく解説します。
ワークライフバランスを重要視している
社内SEは、一般的なエンジニアと異なり、システム開発における納期が緩い場合が多いです。
部門目標に残業ゼロを掲げる企業も存在しており、残業時間も比較的少ないことから、ワークライフバランスを充実させやすい特徴があります。
そのため、業務後のプライベートを有意義に使いたいと考えている方は、後悔しないといえるでしょう。
人とのコミュニケーションに抵抗がない
後悔しない人の特徴として挙げられるのは、人とのコミュニケーションに抵抗がないことです。
社内SEの仕事では、異なる部門や関係者と円滑なコミュニケーションが不可欠です。
問題解決やプロジェクト進行において協力が求められ、積極的なコミュニケーション能力は仕事の進行やチームの効果的な運営につながります。
コミュニケーション能力はどこでも使えます!
また、ユーザーや同僚とのコミュニケーションを通じてニーズやフィードバックを理解しやすくなり、仕事においてより良い結果を生み出しやすくなります。
社内SEが後悔しないためのキャリアプラン
社内SEに転職しても、後悔しないためには明確なキャリアプランを考えるとよいです。
次に、社内SEにおすすめのキャリアプランを紹介します。
- 別企業の社内SEになる
- マネージャー職へキャリアアップ
- ITコンサルタントへ転職
- 独立してフリーランスになる
それぞれ詳しく解説します。
別企業の社内SEになる
社内SEの一般的なキャリアパスとして考えられるのでは、別企業の社内SEです。
業務内容の範囲は企業の規模によって異なり、小規模企業の場合は幅広い業務を担当するのに対し、大手企業の場合は個人の役割が決められているケースがあるでしょう。
また、企業によっては前職の経験が活かせる点が、別企業の社内SEへ転職するメリットといえます。
自身の希望する仕事内容や、労働環境、給与形態などを分析したうえで、転職を検討しましょう。
マネージャー職へキャリアアップ
企業によっては、システム開発の一部を外部ベンダーへ委託する場合もあるため、マネジメント業務が発生します。
スケジュール管理や、成果物の品質管理に加えて、コストを考慮した交渉など、社内SEは外部ベンダーをマネジメントしなければなりません。
そのため、社内SEにて身につけたマネジメントスキルを活かして、プロジェクトマネージャーやリーダーなどのマネージャー職になることが可能です。
プロジェクトマネージャーの資格を保有している場合は、よりキャリアアップしやすくなるため、資格取得も視野に入れてみてください。
ITコンサルタントへ転職
ITコンサルタントは、ITを活用してクライアントが抱える課題を洗い出し、解決する職種です。
社内SEは、企業の経営課題や他部署が抱える課題をヒアリングし、分析したうえで最適なシステムを提案したり、改善策を提示したりします。
また、上流工程から下流工程までシステム開発の一連の流れが把握できます。そのため、社内SEで身につけた知識やスキルは、ITコンサルタントに非常に活かしやすいといえるでしょう。
独立してフリーランスになる
社内SEで身につけた知識やスキルを活かしてフリーランスになることも可能です。
フリーランスになると、働き方が自由に選択できるほか、給与が会社員時代と比較して高くなる傾向にあります。
ただし、社内SEのフリーランス案件は一般的なエンジニア職と比較すると少ないため、社内SE以外の職種になる可能性もあるため注意が必要です。
開発スキルを活かしたエンジニアや、社内SEのマネジメントスキルを活かしたマネージャー職やコンサルタントとしての業務が多いでしょう。
社内SEへの転職で後悔しないための方法
社内SEへの転職で、後悔しないための方法は以下のとおりです。
- 業務内容が自身に適しているか確認する
- 口コミサイトを参考にする
- 転職エージェントを活用する
それぞれ詳しく解説します。
業務内容が自身に適しているか確認する
社内SEの転職で後悔しないための方法として、まず業務内容が自身に適しているか確認することが重要です。
新しい職場での業務は、やりがいや満足感に直結するため、仕事の詳細やプロジェクトの特徴をよく理解し、自分のスキルや興味に適しているか確かめましょう。
業務内容が自身のキャリア目標や志向に合致するかどうかを検討し、将来的な成長や充実感を見据えることが大切です。
事前に調べておくことは、非常に重要です。
また、企業の理念や今後の事業展開も確認し、自身がその理念に共感できるかどうかを考えることも重要です。
転職後のミスマッチを防げるため、自己分析や企業研究は徹底しておこなうようにしましょう。
口コミサイトを参考にする
社内SEの転職で後悔しないための方法として、口コミサイトを参考にすることが挙げられます。
社員や元社員が投稿した口コミは、企業の実際の雰囲気や働きやすさ、給与体系などのリアルな情報を提供しています。
口コミを集めて分析すれば、ある程度客観的な評価を得ることができます。ただし、一つの意見に偏らないように複数の口コミを参照することが重要です。
また、個々の感じ方や価値観は異なるため、自分の優先項目に合った情報を見つけることが重要です。
口コミサイトの情報は、私怨で書かれている場合もあるので注意も必要です!
転職エージェントを活用する
社内SEの転職で後悔しないための方法として、転職エージェントを活用することが考えられます。
転職エージェントは、求職者と企業とを仲介し、適切なマッチングをサポートしてくれるでしょう。
転職エージェントを利用する際は、信頼性や実績のあるエージェントを選びましょう。
以下に転職エージェントの利点をまとめてみました。
- 転職市場や業界の情報に精通しており、求職者の希望条件やキャリアプランに合った企業を提案
- 企業との交渉や面接のセッティングを代行してもらえるため、手続きの効率化やスムーズな転職
- 専門家のアドバイスやサポートを受けながら、自分に最適な転職先を見つけることができる
社内SEになるためにおすすめの転職エージェントについて、紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
転職エージェントを活用して社内SEへの転職を成功させよう
- マニュアル通りの仕事で、面白みがない場合がある
- スキルを身につけるには、適さない企業もある
- ワークライフバランスはとりやすい
- 自身に合ったキャリプランを立てておくことが重要
- 転職する前の下調べは重要
社内SEは、自社が抱える経営課題や他部署の問題をITを活用して解決する職種です。
特定のスキルを身につけることは難しいですが、幅広い業務に携われるため、多くのITスキルが身につく点がメリットといえるでしょう。
また、企業によって社内SEの業務内容は大きく異なるため、自己分析や企業研究を徹底して自身に最適な企業へ転職する必要があるでしょう。
自身に適した企業が見つからないと悩んでいる場合は、転職エージェントを活用してキャリアアドバイザーよりアドバイスを受けてみてください。
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