「ハローワークの求人はブラック企業ばかり」という声を耳にした方も多いでしょう。
国が運営するハローワークの求人情報が、ブラック企業ばかりといわれるのはなぜか気になる方は多いかもしれません。
そこにはハローワークを国が運営しているからこその特徴があり、ブラック企業にとって求人掲載しやすい環境を設けていることが背景にあります。
ハローワークには民間の求人サイトよりも豊富な求人情報が掲載されています。
求人している企業がすべてブラック企業ではなく、優良企業であるホワイト企業の求人情報も存在します。
本記事では「ハローワークがブラック企業ばかりといわれる理由」と「ハローワークでホワイト企業を探す方法」について詳しく解説します。
ハローワークの求人がブラックばかりといわれる理由3つ
ハローワークの正式名称は、公共職業安定所です。
ハローワークは仕事を探している人や従業員を雇いたい企業に対して、さまざまなサービスを提供する機関です。
ハローワークの特徴は、運営主体が国であることです。
そのため、サービスは無償で提供されます。
就労に関する手続きや職業訓練なども提供しています。
なぜ、ハローワークにはブラック企業の求人が多いといわれるのか気になるでしょう。
ハローワークの求人がブラックばかりといわれる理由は、次のとおりです。
- 掲載費用がかからない
- 求人掲載を断れない
- 求人掲載の審査が甘い
それぞれの理由を詳しく解説していきます。
掲載費用がかからない
ブラック企業ばかりといわれる理由は、ハローワークに求人を出すために費用がかからないためです。
民間の求人サイトは求人をおこなう際に、企業がお金を支払い、求人情報を掲載してもらいます。
また、転職エージェントを利用すれば、費用を企業側が支払う必要があります。
一方、ハローワークは求人情報の掲載に費用が掛からないため、コスト面からみて企業にとって使いやすいサービスです。
一般的にブラック企業は、人手不足で利益が出ていない企業である場合が多いです。
労働条件が過酷な割に賃金の低いブラック企業では人材の定着率が低いため、頻繁に求人をおこなう必要があります。
そのため、ハローワークでの求人は無償で、コストがかからず都合がよいわけです。
求人掲載を断れない
ハローワークは原則として企業からの求人を断ることができない点がブラック企業ばかりといわれる理由として挙げられます。
あきらかに法律を犯している企業は別ですが、ブラックかもしれないというレベルでは求人情報の掲載を断ることはできません。
基本的には、1年に2回以上最低賃金法や労働基準法に違反した企業は断ることが可能です。
仮に違反があったとしても、改善が認められれば半年後には掲載できるようになります。
そのため、労働条件があまりよくないブラック企業だとしてもハローワークでの求人情報は
断られることはありません。
求人掲載の審査があまい
3つ目の理由として、ハローワークは求人掲載の審査が甘いということが挙げられます。
基本的な社会保険を完備しているという条件はあります。
しかし、社会保険以外は所定の情報を提示すれば人材募集ができるため、ブラック企業が隠しておきたい情報を出さずに募集可能です。
審査が甘いため、求人票に記載されている内容と入社後の対応が利用者の考えていたものと違う場合があります。
利用者からすれば、記載内容と違う条件で働かされれば、ハローワークによる求人で就職したらブラック企業だったと感じることになります。
ハローワークを利用するメリット
ハローワークを利用するメリットは、次のとおりです。
- 地元密着型のため地方でも求人を見つけやすい
- 求人数が豊富
- 自身のペースで就職・転職活動がおこなえる
- 不採用理由を教えてもらえる
ブラック企業ばかりといわれるハローワークですが、上記のように利用するメリットが複数存在します。
ハローワークを利用するメリットについて詳しく解説します。
地元密着型のため地方でも求人を見つけやすい
厚生労働省の調査によると、ハローワークは各都道府県に1か所以上あり、全国では500か所以上に設置されています。
全国規模の拠点を活かして、地元に密着した求人情報が充実しています。
知名度が低い企業のなかでも、優良な地元企業の情報などが掲載されているのです。
求人サイトは全国からの検索を基本としていますが、ハローワークは地域を限定して仕事を探したい人にとって使いやすいサービスです。
地元で事業を拡大していて、積極的に採用をおこなっている企業を見つけ出せば、非常に有望な就職先候補になります。
参考元:厚生労働省「ハローワーク」
求人数が豊富
ハローワークは無料で掲載できるため、基本的に求人数が豊富です。
幅広い業種の求人があるため、さまざまな選択肢が検討可能です。
求人数が多く、他の求人サイトには掲載されていない企業の情報も豊富にあります。
ブラック企業ではない場合でも、求人に関するコストを削減したい中小企業は多いです。
求人コストの削減を目的としている企業は、求人サイトや転職エージェントは使わずに、ハローワークを使っている場合があります。
注意深く探せば、思わぬ優良企業に出会えるかもしれません。
自身のペースで就職・転職活動がおこなえる
ハローワークの職員から就職や転職に関して、応募を強要されることはありません。
転職エージェントの場合は、転職が決まることによってエージェントの報酬になるケースが多いため、多少なりともエージェントには早く転職してほしいという願いがあります。
そのため、利用者に対して就職や転職の早期決断を促す場合があります。
ハローワークは公益性や平等性を重視するので、職員が強く応募を進めることはありません。
ハローワークの職員には利用者に早く就職してもらいたいというインセンティブはなく、客観的に相談できる環境が整備されているため、利用者は自身のペースで就職や転職活動がおこなえます。
不採用理由を教えてもらえる
他の求人サイトでは企業がお金を支払っている背景から、不採用になったときの理由を教えてもらうことはできません。
一方で、ハローワークは理由を具体的に聞けるケースが多いです。
不採用になった場合のフィードバックをもらい、改善点を理解できるため、次の転職活動に活かすことのできる非常に大きなメリットです。
ハローワークを利用するデメリット
ハローワークを利用するデメリットは、次のとおりです。
- 職員によって対応の質に差がある
- 求人情報がわかりづらい
それぞれ詳しく解説します。
職員によって対応の質に差がある
ハローワークの職員の中でも個人差があります。
対応が親身で丁寧な職員もいれば、事務的に処理をする職員もいるでしょう。
気分よく転職活動ができないようであれば、担当職員の変更を申し出るのもひとつの方法です。
また、事業所単位でも雰囲気が異なります。
自身と明らかに合わないと感じたらその事業所の利用を控えましょう。
求人情報がわかりづらい
民間の求人サイトであれば、写真や口コミなどさまざまな情報が掲載されていて、求人企業のイメージをつかみやすくする工夫がされています。
一方、ハローワークの求人票は最低限の情報のみ記載されてるため、具体的な仕事内容や社風はわかりづらいです。
求人情報がわかりづらいと、就職後に思っていた職場と違ったというミスマッチが起こりやすいです。
条件が気に入ったけど雰囲気がわからない場合は、ハローワークの職員に相談をしてみるとよいでしょう。
ブラック企業ばかりのハローワークの求人票からホワイト企業を見つける方法
ブラック企業が多いといわれているハローワークの求人票から、ホワイト企業を見つけるためには以下の5つの方法が有効です。
- 常に求人を掲載していないか確認する
- 記載された給料におかしな部分が存在しないか
- 労働時間&年間休日日数を確認する
- ハローワークの職員に質問する
- 転職サイトの口コミを確認する
上記の5つのポイントを抑えて活動を続ければ、ホワイト企業を見つけられる可能性が高まります。
また、下記の記事ではハローワークでのホワイト企業の見分け方について詳しく執筆されています。
ホワイト企業見分け方ノウハウ以外にも、ハローワークの評判を紹介しているため、ホワイト企業へ転職したい人や利用者の意見を参考にしたい人は、ぜひ参考にしてみてください。
常に求人を掲載していないか確認する
常に求人を掲載している企業には注意が必要です。
ブラック企業には「労働条件が悪くて人が集まりにくい」または、「人が定着しづらい」という特徴があります。
そのため、恒常的に人手不足で求人を出し続けなくてはいけない状況である可能性があります。
記載された給料におかしな部分が存在しないか
求人票に記載されている給料の項目におかしな部分がないかチェックしましょう。
たとえば、給与額の幅が20万円から60万円のように大きすぎる場合は、高い給与をもらえると見せかけている可能性があるため、注意が必要です。
また、通勤手当や休日出勤手当など各種の手当がきちんと存在するかも確認するポイントです。
加えて賞与の額も重要であり、月給2か月分が標準レベルです。
労働時間&年間休日日数を確認する
労働時間や年間休日の日数の確認も重要です。
朝の始業時間から業務終了まで何時間労働で休憩はどのくらいあるのか確認しましょう。
そして、残業が平均どのくらいかなどを確認し、月45時間以上の残業がある企業は注意した方がよいです。
また、年間の休日日数は120日程度が一般的です。
休日日数が平均より少ない企業は注意した方がよいでしょう。
ハローワークの職員に質問する
離職率や労働条件の詳細などで分からないことは、ハローワークの職員に質問しましょう。
ハローワークは、地元密着型の業務を展開しています。
特定地域の企業情報や評判を入手できていると考えられるでしょう。
とくに長くハローワークで働く職員であれば、地元企業の情報や評判を知っている可能性が高いです。
転職サイトの口コミを確認する
ハローワークで就職活動をおこなうときには、転職サイトの口コミも確認しましょう。
ある程度の規模の大きな会社であれば、口コミ情報があるはずです。
その職場で働いていた人の意見や感想は、信ぴょう性が高く大変参考になります。
また、企業のホームページも一度見ておくことをおすすめします。
企業の雰囲気をつかむのに役立つ可能性があります。
ハローワークにも多数のホワイト企業が存在する
ハローワークにはブラック企業が多いと言われますが、ハローワークへの求人が無料である、掲載を断れない、掲載の審査が甘いなどが原因です。
また、ブラック企業から見ても求人が出しやすい環境にある点も原因です。
ハローワークには他の求人サイトと比較して、求人情報の量が圧倒的に多いという特徴があります。
求人情報の数が多いため、ホワイト企業もブラック企業のいずれもが多く入り込んでいると考えられます。
しかし、ホワイト企業の求人はすぐに埋まり、ブラック企業の求人は人気がないため残ることから、ブラック企業ばかりという印象を与えてしまうのかもしれません。
ホワイト企業を見つけるためには、ブラック企業の求人の特徴を理解して避ける方法が有効です。
求人を常に出している企業や給料に関する情報が曖昧な企業には注意しましょう。
また、働き改革が叫ばれる現在で、通常の企業より残業が多い企業や休日が少ない企業はブラックである可能性が高いので避けた方が無難です。
これらのポイントを抑えて、丁寧に求人票を探していけば、ハローワークでもホワイト企業の求人がきっと見つかるでしょう。
コメント