せっかく入社できた会社で「試用期間中だけど、やめたい・・・」と考えることがある人もいるでしょう。
しかし試用期間中に、「辞めたい」と言い出すことは、気まずさを感じてしまい、ためらう方も多いです。
結論からいうと、試用期間中にやめてもまったく問題ないため、気まずさを感じる必要はありません。
本記事では、試用期間中にやめても問題ない理由や試用期間中にやめるべき会社の特徴、やめても気まずくならいないための方法について解説します。
現在の職場を試用期間中にやめても問題ないか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
試用期間中に会社をやめても問題ない理由
試用期間中に会社をやめても問題ない理由は、次のとおりです。
- 法的に問題ない
- 会社に迷惑がかからない
- 試用期間中にやめる人は多い
- 転職が当たり前の時代
- 試用期間中の変わりはいくらでもいる
試用期間中に会社をやめても問題ない理由について、それぞれ詳しく解説します。
法的に問題ない
試用期間中にやめても問題ない理由に、法律的に問題ないことが挙げられます。
退職に関する法律は、民法626条、627条、628条です。
(期間の定めのある雇用の解除)
第六百二十六条 雇用の期間が五年を超え、又はその終期が不確定であるときは、当事者の一方は、五年を経過した後、いつでも契約の解除をすることができる。
2 前項の規定により契約の解除をしようとする者は、それが使用者であるときは三箇月前、労働者であるときは二週間前に、その予告をしなければならない。
e-GOV 検索 民法 施行日 令和5年 6月14日
試用期間が5年を超えるということは、まずないと思いますので、関係はなさそうですね!
(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
2 期間によって報酬を定めた場合には、使用者からの解約の申入れは、次期以後についてすることができ る。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。
3 六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三箇月前にしなければならない。
e-GOV 検索 民法 施行日 令和5年 6月14日
上記の条文からわかるように、最低でも2週間前に退職届等を出すことによって、辞められることがわかるでしょう。
ただし、期間によって報酬が決められている場合は、申し入れ時期が違ってきますので、お気を付けください。
辞め方さえ守れば、辞めることは違法ではない!
(やむを得ない事由による雇用の解除)
第六百二十八条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
e-GOV 検索 民法 施行日 令和5年 6月14日
やむを得ない事由とは、心身の障害や疾病、両親・子どもの病気の介護等、どうしようもないことと捉えるとよいです。
この場合は、退職届等の提出期限はないです!
どうしても法的問題で、いつまでに退職届を出せばいいのか等の心配がある場合は、専門の弁護士等に相談することを強くおすすめします。
僕自身、法学者でもないので、法解釈はなかなか難しいもので、心配の場合は、専門家に相談すると間違いないでしょう。
会社に迷惑がかからない
試用期間中にやめても問題ない理由として、会社に迷惑がかからないことが挙げられます。
試用期間は、双方の適性に問題ないかを探るためのお試し期間であり、合わないと感じた場合には、早めに退職する方が会社には迷惑がかかりません。
反対に、合わないまま仕事を続け、ある程度仕事ができるようになったタイミングでやめられる方が、会社としては目枠に感じるでしょう。
試用期間中に合わないと感じたら、素早く決断しましょう!
試用期間中にやめる人は多い
出典:Alba LInk不動産総研【入社1年以内に会社を辞めた理由ランキング】男女333人アンケート調査
Alba Link 不動産総研が実施した、入社1年以内に会社を辞めた経験がある方を対象に取ったアンケートです。
1年以内に辞めた人の半数以上が半年以内に辞めていることがわかり、早い段階で見切りをつける人が多いと解釈できます。
そのため、試用期間で辞める人は割と多いということです。
世間的にも、試用期間で辞めることが、そこまで後ろめたいことではなくなってきているといえます。
今やもう令和ですから・・・(笑)
転職が当たり前の時代
Indeedの調査によると、日本人の転職経験率は59.7%と報告されており、2人に1人以上が転職経験があることわかります。
複数回転職経験のある方も多く、近年では転職が当たり前の時代になりつつあります。
転職の理由は、職場の人間関係が合わない、年収を上げたい、キャリアアップしたいなどさまざまですが、別の仕事も経験してみたいなどと気軽に転職する方もいるでしょう。
転職に対して、3年はやめない方がよいと言われることもありますが、自身で決断せずに同じ環境で働き続けるのは身体に毒なので、早めの決断が重要です。
試用期間中の変わりはいくらでもいる
企業は採用に多大なコストをかけているため、試用期間中の退職はコストを無駄にしてしまうのではと考える方もいるでしょう。
試用期間中に限らず、人材市場は常に流動的であるため、代わりとなる人材は見つかります。
退職後も別の社員が入社し、同じ業務内容を引き継ぐため、とくに状況は変わりません。
試用期間中に職場とウマが合わないと感じたら、自身に適した職場環境へ転職するために、勇気を出して退職を申し出ましょう。
試用期間中にやめておくべき会社の特徴
試用期間中でもやめておくべき会社の特徴は、次のとおりです。
- 雰囲気が悪い
- 聞いていた条件と実態が違う
- ハラスメントが多い
- 適切な教育がなされない
- サービス残業が当たり前
それぞれ詳しく解説します。
職場の雰囲気が悪い
試用期間中にやめるべき会社の特徴は、職場の雰囲気が悪い会社です。
仕事自体にやりがいを感じていたとしても、職場の雰囲気が悪いと楽しさは感じられません。
いつもどんよりとした空気が流れていることや新人に対してまったく気を使ってくれないといった現象が見られる場合は、注意が必要です。
入社前に判断できればよいのですが、入社後にのみわかる部分が多いため、試用期間で判断するのがいいでしょう。
雰囲気が悪い原因がわかり、改善の余地がある場合は、考えものです!
聞いていた条件と実態が違う
入社前の面接や説明会時に聞いていた条件と実態が大きく異なる場合は、試用期間中にやめるべき会社とといえるでしょう。
たとえば、給与や残業時間、休日などの労働条件が聞いていたものと異なると、今後会社で働く気が失せます。
入社前に提示された条件と、実際の労働の際に大きな差があると、お互いの信頼関係に亀裂が入るでしょう。
労働契約において、先に明示した労働条件とあきらかに異なる場合、労働基準法に違反しています。
ただし、会社の状況が当時と異なる場合も多いため、一度上司や人事担当者へ相談してみましょう。
相談したうえで、労働条件が改善されない場合は、自身のライフスタイルや理想の労働環境に適した職場への転職をおすすめします。
会社とは、信用関係が大切ですね!
パワハラやセクハラなどのハラスメントが横行している
パワハラやセクハラなどのハラスメントが横行している職場は、試用期間中に即時にやめることをおすすめします。
上司が日常的にパワハラをしている場合、周りの人間も受け入れてしまい、ハラスメントが当たり前の職場になっている可能性があるでしょう。
セクハラの場合は、発言権が少ない新入社員を狙い、不愉快な発言や行為をされる場合もあります。
ハラスメントが横行している職場を、自身のみの力で変えることは困難であるため、試用期間中であってもすぐに退職の準備をはじめるべきです。
重度のパワハラ等で、精神病等にかかってしまった場合は、「やむを得ない事由」になりますので、即刻辞めることができます。
適切な教育がなされない
試用期間中なのにもかかわらず、適切な教育がなされない会社はやめても問題ありません。
試用期間中は、仕事を覚えきっておらず、わからないことも多い状態であるのにもかかわらず、教育を実施しない会社も一部存在します。
ただし、会社側が自身の成長に見越して教育をしており、自分が勝手に適切でないと感じているだけの可能性もあります。
まったく仕事について教えたもらえないのはよくありませんが、不安な場合は上司や先輩とのコミュニケーションは非常に重要です。
仕事を進めるためのコミュニケーションさえも拒まれるようであれば、教育環境が充実した企業への転職を検討してみてください。
わからないところは、もう学生ではないですから、自分から聞きにいく姿勢が、大切です!
サービス残業や休日出勤が当たり前の環境
サービス残業や賃金の発生しない休日出勤が求められる職場は、労働基準法違反なので退職か転職を検討した方がよいでしょう。
残業代や休日出勤手当は、働いた分の労働の対価として会社には支払う義務があります。
サービス残業や休日出勤が当たり前の職場では、自身が会社にお金を支払い仕事をさせてもらっている状態といえるでしょう。
残業や休日出勤をしているのにもかかわらず、賃金が支払われない場合は、退職してから2年以内であれば残業代を制球できる可能性もあるため、弁護士などに相談するとよいです。
人件費を削減するにも、限度はありますよね・・・
試用期間中にやめるのが気まずくならないための対処方法
試用期間中にやめるのが気まずくなりたくない場合は、次の対処方法を実施してください。
- 上司に相談
- 退職理由は明確にし、正直に伝える
- 退職代行を利用するのも一つの手段
それぞれ詳しく解説します。
上司に相談
試用期間中の退職で気まずくならないためには、上司へ相談してみましょう。
やむを得ない場合を除き、辞めるためには、退職届を出してから最低2週間あります。
相談なしに退職届を出すと、2週間は気まずい空気が流れることは想像できるでしょう。
上司に相談しておけば、最低でも上司とは気まずくならないうえに、職場環境が改善される可能性も考えられます。
職場環境が改善されれば、会社をやめる必要がなくなるかもしれないため、職場の上司へ退職の旨を伝えてみましょう。
コミュニケーションは何より大事ですね!
退職理由は明確にし、正直に伝える
退職理由は、明確にして正直に伝えましょう。
職場環境が悪かったのか、労働条件が合わなかったのかなど具体的な理由を正直に伝えれば、相手も退職に納得しやすくなるでしょう。
退職時に理由を明確に伝えれば、会社側が問題を受け止め、今後の改善につなげられる可能性があります。
また、転職活動時にも退職理由を聞かれるため、明確にしておけば転職の際にも役立つでしょう。
辞めるのだから、最後ぐらい言いたいことを言ってやりましょう!
退職代行を利用するのも一つの手段
退職代行を利用すると、試用期間中でも即日退職が可能です。
基本的に退職を申し出てから2週間は、気まずい空間で働き続けなければいけません。
退職代行を利用すれば、退職代行に企業に対して退職までの2週間を有給や欠勤扱いにできないか交渉してもらえます。
そのため、退職を申し出た日から会社へ行く必要がなくなるため、実質即日退職が可能になります。
試用期間中の退職がどうしても気まずいと感じる場合は、退職代行の利用を検討してみてください。
すごい仕事ができたものですね!
試用期間中に退職する場合の注意点
試用期間中に退職する場合は、次のことに注意してください。
- 退職届の提出日
- 何度も試用期間中にやめることは今後不利になる
- 転職先は決めておく
それぞれ詳しく解説します。
退職届の提出日
退職届は、やむを得ない場合を除き、最低でも2週間前には、提出する必要があります。
事情にによっては2週間より前に提出する場合もありますが、1週間前や3日前などの期間外に提出すると、自身が法律違反になってしまいます。
そのため、提出の際には期間に気を付けるようにしましょう。
また、会社によっては、就業規則を定めている場合もあります。
就業規則がある場合は、就業規則に定められている期間に従う必要があるため、注意しましょう。
辞めるにしても、筋は通す必要があります!
何度も試用期間中にやめることは今後不利になる
注意点2つ目は、試用期間中に辞める行為を、複数の会社でおこなわないことです。
複数の会社で試用期間中に辞めれば、履歴書の職歴欄に短期間で会社を辞めている事実を書く必要があります。
新たな会社に入社したいときに、会社の採用担当者から、忍耐力がなく自社内で仕事ができるか不安と考えられてしまうでしょう。
試用期間中の退職は、少しであれば問題ありませんが、複数回になると転職時に不利になる可能性があることに留意してください。
そうはいっても、どうしてもという場合は、辞めてくださいね!
転職先は決めておく
試用期間中に退職する場合は、転職先から内定をもらうようにしましょう。
退職後に転職活動をおこなうと、貯金を崩しながら活動しなければならず、焦ってしまいがちです。
早く次の職場を見つけることに焦ったまま転職活動を続けると、自身の理想とは異なる職場へ就いてしまう可能性も考えられるでしょう。
試用期間中に転職先が決まっていれば、退職後も給与が安定して得られるため、生活に苦しむことも少ないです。
在職中に転職活動をすることが難しいと感じる場合は、転職エージェントの利用がおすすめです。
転職エージェントは、書類添削や面接対策のほかに、企業との採用スケジュール調整などを代行してもらえます。
そのため、在職中で忙しくて転職活動に費やす時間がない方にもおすすめといえるでしょう。
また本サイトでは、おすすめの転職先業界/おすすめしない転職先業界も紹介していますので、それについては以下の記事も参考にしてみてください。
試用期間中に辞めることは気まずいかもしれないが自分の身を守ることも大切
- 試用期間中に辞めることは問題ない
- ハラスメントの問題やサービス残業が横行している会社は即刻辞めるべき
- 気まずくならないためには、コミュニケーションが重要
- 何度も試用期間中に辞めることはおすすめしない
入社前、まさかこのような実態の会社だったとは、思いもしなかった。
このような感想を、働き始めてから思う人もいるでしょう。
自分の力で改善できることは、改善していくべきです。
しかし、会社自身の問題となると、1人が動いたところでどうにもならないことが、ほとんどです。
そのような会社で働き続け、自分の命を削る前に、辞めて新たな一歩を踏み出すことが大切です。
皆様の人生が、いい色になることを陰ながら祈っています。
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